黒川伊保子 著  芽ばえ社 2010年発行

著者の黒川伊保子さんは、人工知能の研究をされている方である。
人工知能の研究の観点から、子どもの脳をどのように育てていくのが良いかという話になっている。
研究者らしい観点ではあるものの、ご自身の息子さんの楽しいエピソードも交えながら書かれているので、とても面白く読めた。

母親を呼ぶことば

ことばの語感にはイメージがあるということが述べられているが、その中で、世界中の赤ちゃんがM音で母を呼ぶことについて言及している。
ママ、マンマ、マミーなどのことばである。
しかし一方で、日本語では「マンマ」はごはんのことである。
言われてみるととても不思議なことだと思った。
このことについて著者は、日本語は主語を使わない言語だから、という点から推論を述べている。
母語と脳の関係性という意味でとても印象的な話だった。

天才とは

脳をどのように育てるかということについて、天才と呼ばれる人たちの脳の性質を分析している。
その中で、ジョン・スタインベックのことばが引用されている。
「天才とは、蝶を追って、いつの間にか山頂に登っている少年である」
著者の分析をわかりやすく示したもので、とても納得感があった。
著者はまた、目指すべき脳を「しあわせ脳」ということばで表現している。
これもとても良いことばだと感じた。

子どもをどう育てていくか

肝心の子育てのポイントとしては特に奇をてらったことは述べられていない。
ただ、それぞれのポイントについて、それが脳に対してどのような効果をもたらすかということが、脳科学的な話として述べられているのが良いと思う。
この本を読んで、子育ての姿勢が大きく変わる、というようなことではなかった。
子育てについて少し違う楽しみ方を教えてもらったというのが感想である。